北陸鉄道金石線を訪ねて
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 地区:石川県金沢市  区間:中橋~大野港(7.2km)/松原~檮々園前(0.4km)  軌間:762→1067mm/単線  動力:馬力→電気

金石往還に沿って開業した馬車鉄道が起源となる路線。軌道ではあるものの道路脇に独立した線路帯を有し、高床車両、高床ホームを用いて運行されていた。貨車は国鉄線に直通したが、旅客車両が金沢駅に乗り入れることはなく、また市内線との連絡も夢物語に終わっている。

略史

明治 31(1898) - 2/ 5  金石馬車鉄道  開業
大正 3(1914) -  金石電気鉄道に改称
昭和 18(1943) - 11/ 25  北陸鉄道に合同
46(1971) - 9/ 1    金石線 廃止

路線図



廃線跡現況

A
23年9月
起点となるのが金沢駅の南に設けられていた中橋(写真A)。駅舎は県道17号線に面していたが、6車線化工事により大半は道路に飲み込まれ、北側に広がっていた構内も、新たに区画整理された市街地に埋没している。北陸本線との貨物連絡線も同様に痕跡は消え、醒ヶ井公園の石碑に刻まれた旧町名とルートが、その歴史を後世に伝えている。
B
23年9月
駅を出るとすぐ県道60号線と交差し、その後線路跡は歩行者道(写真B)に転用されはじめる。次の十字路(写真C)から自動車も通行可となり、ゆるやかな左カ-ブを描くと小さな公園に突き当たり、再び歩行者用の散策路に変わる。
公園を抜けたのちは県道17号線に合流する。同所に置かれていたのが馬車鉄道時代の始発駅長田町(写真D)だが、今はその面影すらない。

C
23年9月
D
23年9月

E
23年9月
県道の北端を走っていた路線は、二度にわたる道路拡幅により正確な位置の把握は難しく、東行車線の第一通行帯から第二通行帯に掛けてかと想像するのみだ。
若宮町交差点の東側に設けられていた若宮(写真E)も、全て道路内に取り込またと考えてよさそうだ。
F
23年9月
北町(写真F)は同名バス停が目印となる。さらに北陸道をくぐると県道は4車線に減少し、以後は歩道を含めた道路の北寄りが線路跡に相当する。
次の藤江(写真G)は駅跡がそのままバス停に利用されているようで、工業高校の最寄り駅となっていた二代目畝田(写真H)も同様だ。

G
23年9月
H
23年9月

I
23年9月
前田交差点の西側となる初代畝田(写真I)は特にこれといった目印はなく、続く寺中(写真J)は同名バス停に変わる。この付近から線路の北側を流れていた用水路が姿を見せはじめ、一部は暗渠として歩道に組み込まれるものの、線路位置の特定には大いに役立つ。
大野湊神社前(写真K)は駅を載せた地図を見つけることができず、西警察署前交差点の前後かと推測するのみだ。

J
23年9月
K
23年9月

L
23年9月
さらに道なりに進むと馬車鉄道時代の終着駅金石(写真L)に到着する。大野港延伸後は東に向けての急カーブ途上に駅が移され、跡地はバスターミナルやスーパーの駐車場等に利用される。
1961年の金沢市明細区分図に中橋、大野港両方向からの側線がそれぞれ別々に記載され、構内配線に変遷があったことを物語っている。

ここからの専用軌道跡は二車線道路(写真M)に転換され、一旦、要川に沿って走ったのち左手から接近してきた旧道と交差する。この東方が当初松原と呼ばれた三善製紙前(写真N)となる。

M
23年9月
N
23年9月

O
23年9月
駅の手前から北に分岐した支線跡は既に住宅や農地に変わり、痕跡を見つけられないまま製紙工場内に入ってしまう。その構内に設けられていたのが二代目濤々園前(写真O)で、工場用側線を旅客輸送に兼用し、正門北側に開園した観光施設への玄関口を担っていた。
P
23年9月
本線側は道路転用が途切れ、そのまま住宅地内へと入り込む。一画を抜けた先で建設会社の南端をかすめる。ここに位置した初代濤々園前(写真P)は二代目との関連は薄く、むしろ前記三善製紙前とバーター関係にあるようだ。
Q
23年9月
駅の先も市街に細かく分断され、細長い空地(写真Q)は線路用地を、生活路を横断する排水溝はその境界線を、それぞれに教えてくれる。途中の無量寺(写真R)は短い路地に変わるものの、痕跡は認められない。
この東側で向きを北に変えたのちは、再び線路跡を転用した舗装路(写真S)がはじまり、大野口交差点からは大徳川に沿って走る。

R
24年5月
S
23年9月

T
23年9月
終点大野港(写真T)もこの川沿いで、道路突き当りのマリーナ付近まで貨物側線が延びていたこと、北側に物流倉庫が建てられていたこと、その手前に旅客ホームと機回線が設けられていたこと、等の話を現地で聞くことができた。
U
23年9月
また道路沿いの民家縁石(写真U)が、ホーム西端の残痕であることも教えてもらった。一見しただけでの判断は難しいが、これが当線では唯一の遺構となる。

参考資料

  1. 鉄道ピクトリアル通巻216号/北陸鉄道/西脇恵 著 ・・・私鉄車両めぐり

参考地形図

1/50000   金沢 [S35資修]
1/25000   金沢 [S22資修]    松任 [S5測図]   *金石 [S22資修]

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最終更新日2024-5/27  *路線図は国土地理院地図に追記して作成* 
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