近畿日本鉄道八王子線を訪ねてを訪ねて
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 地区:三重県四日市市  廃止区間:西日野~伊勢八王子1.6km  軌間:762mm単線  動力:蒸気→内燃→電気

四日市と四郷村の八王子を結ぶ目的で設立された三重軌道。蒸気から電気へと動力が変り、内部への路線も追加されたが、狭いレール幅は当時のままでナロー又は特殊狭軌とも呼ばれ、今では全国的にも大変珍しい存在となっている。
路線の一部は天白川に並行していたが、上流の宅地開発を原因とする氾濫を機に被災区間が廃止された。

略史

大正 1(1912)- 8/ 14  三重軌道 開業
5(1916)-  三重鉄道に改称
昭和 19(1944)- 2/ 11  三重交通に合同
39(1964)- 2/ 1  三重電気鉄道として分離独立
40(1965)- 4/ 1  近畿日本鉄道に合併
49(1974)- 7/ 25      八王子線 日永~伊勢八王子  水害により休止
51(1976)- 2/ 25       〃  西日野~伊勢八王子 廃止

路線図



廃線跡現況

A 現在の西日野(写真A)は終端駅となっているが、路線の一部廃止時に旧駅の東に新たに設置された二代目で、以前はこの先に線路が続き、天白川左岸堤防上を道路と並んで走っていた。

なお線路基面と堤防道路にはやや段差が認められるが、これは新駅設置を堤防への上り勾配途中としたため、路盤を水平に削ったことにより発生したもの。
96年09月
1974年、天白川の氾濫により一帯は浸水し、河川に接していた八王子線は道床がえぐられ運休に追込まれた。この水害を機に天白川は改修(写真B)されたが、堤防上を走っていた八王子線は廃止されてしまった。

当時の写真と比べると堤防が嵩上げされたようにも見えるが、実際は川底を掘下げて流路を拡大する方法が取られ、道路も若干拡幅されている。また桜並木も無くなり、印象が大きく変化している。
B
14年11月
C 初代西日野(写真C)は現駅のやや西方、天白川左岸上に位置していた。河川寄りに線路が敷設され、道路との間に小さなホームが設けられ、また駅前商店も存在していた。
96年09月
清水橋(写真D)も河川改修に伴う堤防道路拡幅によりその痕跡を見つけだすことは出来ない。
なお、当駅は区間廃止以前に既に閉鎖され廃駅となっていたところ。
D
14年11月
E この路線の特徴のひとつだったのが、地元醤油工場の横をのんびり走る姿。同所には天白川の堰が設けられていたためいつも満水で、列車が通る度に川面にその姿を映していた。

当時の姿は既にないが、一部の建物は今も残り(写真E)そのレトロな雰囲気を伝えている。
14年11月
F
96年09月
醤油工場の東方に位置したのが室山(写真F)となる。やはり河川改修によって、当時の面影はどこにも感じ取れない。
G
14年11月
五反田橋北詰交差点を越えると、堤防道路には県道8号線の名称が付く。 鉄道は交差点西の八王子バス停付近で県道を斜めに横断(写真G)し北に別れると、すぐに終点伊勢八王子(写真H)に到着する。
H
14年11月
跡地は一時期グループ会社である三重交通バスの転回場として使用されたが、今は舗装された空地のまま私有地に変更されている。

駅の西には小さなターンテーブルまでの線路が延び、電化後もその痕跡を残したまま機廻り線として活用されていたが、こちらは既に四軒程の民家に取込まれている。

参考地形図

1/50000   四日市
1/25000   四日市西部 [S34三修]

 71年当時の各所

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最終更新日2020-1/15 
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