東信貴鋼索線 |
地区:奈良県三郷町 |
区間:信貴山下~信貴山/1.7km |
軌間:1067mm/単線 |
動力:電気 |
信急平坦線 |
地区:奈良県三郷町 |
区間:高安山~信貴山門/2.1km |
軌間:1067mm/複線 |
動力:電気 |
参拝や観光で古くからにぎわう信貴山。最初に開業した交通機関は生駒電気鉄道の鋼索線(ケーブルカー)で、東側からのアプローチとなった。大阪に近い西側からは、信貴山電鉄が鋼索線とそれに続く鉄道線をやや遅れて開業させた。山上の鉄道は世界的にも珍しかったが、現在は西側の鋼索線を残すのみとなってしまった。
略史
-東信貴鋼索線- |
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-信急平坦線- |
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大正 |
11(1922) - |
5/ |
16 |
生駒電気鉄道 |
開業 |
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昭和 |
5(1930) - |
12/ |
15 |
信貴山電鉄 |
開業 |
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13(1924) - |
7/ |
1 |
信貴生駒電気鉄道に合併 |
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6(1931) - |
11/ |
2 |
信貴山急行電鉄に改称 |
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14(1925) - |
11/ |
6 |
信貴生駒電鉄に譲渡 |
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19(1944) - |
2/ |
11 |
〃 平坦線 |
休止 |
昭和 |
39(1964) - |
10/ |
1 |
近畿日本鉄道に合併 |
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4/ |
1 |
関西急行鉄道に合併 |
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58(1983) - |
9/ |
1 |
〃 東信貴鋼索線 |
廃止 |
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6/ |
1 |
近畿日本鉄道に合同 |
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32(1957) - |
3/ |
12 |
〃 平坦線 |
廃止 |
路線図
廃線跡現況
-東信貴鋼索線-
接続する鉄道線と一体だった鋼索線の起点、信貴山下(写真A)。路線廃止後も構内に機器が残され、南側には当時の車両が展示保存されている。
ケーブルカーとしては珍しく線路跡(写真B)が道路に転用され、当然のごとくその路面は急勾配となる。
直線で高度を上げてきた二車線道路は、やがて緩やかに左へとカーブ(写真C)する。鋼索線はここで道路上を離れ、右手の西和清陵高校内に入るが、既にきれいに整地され痕跡は消されている。
高校を抜けると、今度は散策路(写真D)に転換された路盤が現れる。千本桜並木道と命名され、由来を記した案内板が立てられている。また、当時の枕木も一部で顔をのぞかせている。
途中に残された唯一の橋梁(写真E)は、改修の上で歩行者用として供用されている。路面は未舗装区間が多いものの、勾配が急なためか所々タイル舗装(写真F)された箇所も見受けられる。
坂を登り切ると終点の信貴山(写真G)に到着する。当時の駅舎がいまだ健在で、今はバス停の待合所として活用されている。
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信急平坦線-
鋼索線を降りて西に進み、参拝の目的地でもある朝護孫子寺を右手に見ながら更に進むと、鉄道線の信貴山門(写真H)にたどり着く。駅跡は大きな敷地を生かして駐車場となるが、訪問当日は一台の利用車も無かった。
なお鋼索線近くへの延伸も計画されていたが、これは日の目を見ていない。
複線の線路跡は二車線の有料道路(写真I)に転換され、信貴生駒スカイラインとして点在する観光スポットを結んでいる。平坦線と呼ばれる割には傾斜がきつく、地理院地図によると全線約2㎞での高低差は120mを超え、平均勾配は実に60‰前後に達していたことになる。なお通常の複線とは異なり、単線並列としてそれぞれが往復運行する形態をとっていたようだ。
駅を出て道路料金所をくぐると、さっそく上り勾配が始まる。途中で一ヶ所トンネル(写真J)を抜けるが、複線仕様のため特に拡幅も受けずに当時のままで供用されている。
さらに高安山霊園への分岐点(写真K)を過ぎしばらく進むと再び三差路(写真L)が現れ、スカイラインはここで右に曲がる。そのまま直進する側が線路跡となる。
連続勾配が終了すると同時に、西信貴鋼索線との接続駅高安山(写真M)に到着する。鉄道線の代替バス乗り場奥に当時のホームが片面だけ残され、駅名票を模して設置された案内板の中で当線は山上鉄道線と称されている。また鋼索線を使った車両引き揚げの写真も掲載されるが、下記参考資料によると引上げ時は道路を利用し、廃止後、地上へ降ろす際に鋼索線を使用したと記されている。
-保存車両-
東信貴鋼索線の車両が信貴山下の駅前に展示保存されている。
参考資料
- 鉄道ピクトリアル通巻157号/失われた鉄道・軌道を訪ねて/信貴山急行電鉄/山崎寛 著
参考地形図
1/50000 |
大阪東南部 |
[S7要修] |
1/25000 |
信貴山 |
[S6鉄補] |
制作公開日2021-9/21 *路線図は国土地理院電子地図に追記して作成*
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