地区：長野県上田市 区間：電鉄上田〜真田(12.8km)／本原〜傍陽(3.1km) 軌間：1067mm／全線単線 動力：電気
県内で三番目の人口を擁する上田市。上位二都市同様、複数の鉄道会社が設立されたのは、相応の経済力を有していたからに他ならない。上田温泉軌道として開業した真田傍陽
［さなだそえひ］線は、曲線と急勾配の続く険しい路線と戦いつつ客貨の輸送に活躍したが、自動車の普及と共にその役割を終えた。
略史
| 昭和 |
2(1927) - |
11/ |
20 |
上田温泉軌道 北東線 |
開業 |
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3(1928) - |
5/ |
1 |
〃 〃 |
全通 |
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14(1939) - |
3/ |
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北東線を菅平鹿沢線に改称 |
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9/ |
1 |
上田電鉄に社名変更 |
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18(1943) - |
12/ |
23 |
丸子電鉄と合併、上田丸子電鉄となる |
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35(1960) - |
4/ |
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菅平鹿沢線を真田傍陽線に改称 |
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44(1969) - |
5/ |
31 |
上田交通に社名変更 |
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47(1972) - |
2/ |
20 |
〃 真田傍陽線 |
廃止 |
| 平成 |
17(2005) - |
10/ |
3 |
上田電鉄として鉄道部門独立 |
路線図
廃線跡現況
−真田線−
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A |
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新幹線が開通して大きく変貌した上田駅周辺。国鉄駅に隣接していた真田傍陽線の駅は、南口から延びる別所線と区別するため電鉄上田(写真A)と呼ばれていた。その跡地はグループ会社の東急インに変わったのち、現在は上田ステイとして活用される。ただ建物の裏側に廻ると、いまだに東急インの文字が残されているのは面白い。 |
| 14年7月 |
北東へ向う路線にもかかわらず市街地を取囲むルートを採用したため、まずは旧信越線と並んで北西方向へ進む。当時の路盤は既に新幹線に置き換わり、県道77号線を越えると北に向きを変えて旧信越線から離れる。線路跡は駐車場(写真B)として利用され、そのまま上田城の堀につながる。
北上する線路は堀の中に敷設され、途中に公園前(写真C)が設けられた。経費を抑えて市街地を抜ける、最善のルートだったのかもしれない。遊歩道に変わった線路沿いにホーム跡が残り、当時の雰囲気をよく伝えている。
市内は駅間距離が短く、堀から抜け出るとすぐ北大手(写真D)に着く。駅跡は駐車場として利用され、この先も住宅や商店が建ち並ぶ。線路跡を直接トレースすることは難しいものの、正確なルートは地元でしっかり記憶されている。
市内を東西に流れる矢出沢川では両岸に橋台(写真E)が残り、東側を平行する市道からも望むことができる。続いて国道18号線と交差し、上田郵便局の東端をかすめたのち、右に大きな曲線を描く。
上田花園(写真F)はそのカーブ途中に位置し、大半は駐車場に、一部は道路に取り込まれる。駅の先は空地や住宅地、細道等に利用されつつ、紺屋町八幡神社を過ぎると市道の南脇を併走しはじめる。同区間の西寄は駐車場(写真G)に、東寄は住宅が建ち並ぶ。
ドラッグストアへと変わった北上田(写真H)。西側に貨物側線を備える大きな駅だったが、今ではその片鱗すら見いだせない。地方鉄道の駅跡で定番と言えば農協だが、上田交通はドラッグストアが数店舗を占め、今後徐々に増えるのかもしれない。
ここから先は住宅密集地に飛込み、線路跡を直接たどることは難しくなる。その一画を流れる黄金沢川に、橋台(写真I)が両岸共残され、消えかけた当時のルートを教えてくれる。
川の対岸は空き地、次いで市道脇の住宅地と進み、やがて国道18号線に接近する。直後の中央5丁目交差点先で二度目の矢出沢川越えとなる。こちらも両岸に橋台(写真J)が残され、鉄道の存在をアピールするかのようだ。
南東に向う路線は、対岸からゆるやかに北東へとカーブする。この途中に置かれていたのが川原柳で、線路跡を取り込んだ機械工場の正門付近に駅前広場があり、北側に構内が広がっていた。交換設備を持つ主要駅で、その広い跡地の一部は工場の駐車場(写真K)にも利用される。
ここから先は路盤がそのまま残され、作業道(写真L)とも言える状態で姿を現す。沿線には、架線柱用と思しきコンクリート台座(写真M)が顔をのぞかせる。
さらに進むと右から市道(写真N)が接近し、一旦合流する。しかし国道18号線をくぐったのち、市道は右に曲がって離れていく。直進を続ける鉄道側の跡地は、放置された荒地から自動車整備工場や宅地へと用途がめまぐるしく変る。
神科(写真O)は、住宅地の一角に建つ児童センター東方に設けられていたが、今は上信越道の上田菅平インターにすっかり飲込まれてしまった。
駅を出た後は、高度を稼ぐため南に大きく迂回する。その線路跡は、圃場整備で痕跡の消えた農地内から自動車整備工場へと続き、さらに反転に近い左カーブを描く。途中、民家や公園(写真P)に当時の地割が残され、生活道(写真Q)に転換された箇所も認められる。
| カーブ終了地点の工場群を過ぎると当時の路盤が姿を現し、樋之沢(写真R)へとつながる。市街地からやや離れるためか開発は進まず、相対式ホームがいまだその貴重な姿をとどめている。 |
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R |
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| 14年7月 |
駅の北で上信越道をくぐると、草地から一転し再び生活道に転用されはじめる。ただし伊勢山(写真S)の手前で若干屈曲し、線路上からホーム側にその位置を移す。
駅の先からは未舗装路に変わり、当線唯一の伊勢山トンネル(写真T)へと進む。入口には扉が設けられて立入できず、出口側も山腹のポータルをなんとか確認するにとどまる。
トンネルを抜けた直後、今度は神川を渡る。川幅はたいしたことないが、両岸に広がる農地をまとめて越えるため、当線最長の橋梁が必要とされた。その右岸橋台(写真U)は今も原形を保ち、左岸側も一部削られた橋台が姿をみせている。
川を渡り終えると左カーブを描きはじめ、その開始地点に位置したのが殿城口(写真V)。線路跡は再び生活道に戻されるも、駅跡の痕跡はどこにも残されていない。北に向きを変えた道路上を進むと、次の下原下(写真W)に至る。一部広くなった道幅が当時の駅跡を示している。
駅の先で「真田氏発祥の郷」脇をすり抜けると、左手から近づいてきた国道144号線に合流する。国道は真田線跡を拡幅転用して建設され、自動車にとっては快適な二車線道路となる。傍陽方面との分岐駅本原(写真X)はこの道路上に置かれ、今は跡地に同名バス停が設置される。
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Y |
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真田方面はやや東に向きを振る国道側を進み、さらに北東への右カーブを経て、次の北本原(写真Y)に滑り込む。やはりバス停が後を継ぐものの、名称は真田自治センターとされる。その駅跡は道路に上書きされ、痕跡は何も確認できない。 |
| 14年7月 |
ただ当時からの駅前食堂が健在で、店舗横に駅名標を模した案内板(写真Z)が立てられ、鉄道の歴史を後世に伝えている。道路側から見えないのがやや残念と言うべきか。
続く石舟(写真AA)、長村(写真AB)もバス停が目印となるが、目の前に広がるのは鳥居峠を目指す一本道の国道のみで、相変わらず鉄道らしさはどこを探しても見つからない。 |
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Z |
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| 14年7月 |
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AC |
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上り勾配で徐々に標高を上げ、両側から山並が迫り出すと終点真田(写真AC)に到着する。大きな敷地を持つ駅構内は、道路脇に残されたホーム跡から駅前広場にかけてが駐車場に変わり、一部はバスの転換場としても利用される。
なお大日向までの延伸計画もあったが、これ以上線路が北上することはなかった。 |
| 14年7月 |
−傍陽線−
| 真田線は本原から北東へと向きを変えるが、傍陽線はそのまま北上を続ける。路線の一部は国道沿いの民家等に変ったのち旧道と交差し、その先に放置された築堤(写真AD)が姿を現す。 |
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AD |
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| 14年7月 |
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AE |
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作業道のような形で利用される路盤上を進むと神川に突き当り、左岸に当時の橋台(写真AE)を見つけることができる。川を渡り対岸の真田浄化センターを抜けたのちは、二車線の市道に合流しその西脇を併走する。ただし道路の拡幅には利用されなかったようだ。 |
| 14年7月 |
集落へつながる旧道分岐付近に設置された横尾(写真AF)。既に痕跡も消え、正確な場所の特定は難しい。駅を出た鉄道側は一旦市道から西に離れるが、すぐ距離を縮めて再合流となる。同所に位置したのが曲尾(写真AG)で、誰の手によるのか不明だが、駅跡を示す表示板(写真AH)が道路脇に立てられる。
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AI |
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ここからの市道は線路跡を転換して建設され、曲尾交差点まで続く。ただし鉄道側は同交差点の手前で左に曲り、県道35号線の南奥を進む。跡地は住宅地の中に消えるも、途中の洗馬川に残された橋梁痕(写真AI)が、そのルートを示す。 |
| 14年7月 |
| 終点傍陽(写真AJ)は空き地となるが、一部に住宅が建ち他も分譲中の立看板が目立つ。残念なのは、線路突き当りに残る丸屋根の農業施設以外、終着駅としての面影が、どこを探しても見つからないことだ。 |
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AJ |
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| 14年7月 |
参考資料
- RM LIBRARY74／上田丸子電鉄(下)／宮田道一・諸河久 著／ネコ・パブリッシング
- なつかしの上田丸子電鉄／唐沢昌弘・金子万平 編／銀河書房
参考地形図
| 1/50000 |
 上田 |
[S27応修] |
坂城 |
[S12二修] |
|
|
| 1/25000 |
上田 |
[該当無] |
真田 |
[該当無] |
別所温泉 |
[該当無] |
最終更新日2024-6/24 *路線図は国土地理院電子地図に追記して作成*
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西丸子線 
