第二海軍航空廠鈴鹿専用線を訪ねて
廃止鉄道ノート東海 減速進行

 地区:三重県鈴鹿市  区間:白子~三菱重工三重工場分岐~三菱重工整備工場  軌間:1067mm

第二次世界大戦にあわせ、海軍航空基地に隣接して三菱重工の戦闘機製造工場が鈴鹿に建設された。併設された第二海軍航空廠鈴鹿支廠は、その工場への資材搬入を目的として近鉄白子からの専用線を敷設した。軍が関与した経緯から開通日等を含めて不明な点が多く、動力には内燃もしくはバッテリーロコが使われたとの情報もある。ただ、終戦後もすぐに廃止されることはなく、一定期間運行されていたことは確実のようだ。

路線図



廃線跡現況

A 白子駅 現在の白子は西口にロータリーが設けられ利用客も多いが、当時は東口が正面で西側には留置線が広がっていた。第二海軍航空廠専用線は、その西側から近鉄線に沿うように北に向って延びていた。

駅北側の白子第一号踏切(A参照)を越えると、左カーブを描きながら大手ショッピングセンターの中に入り込む。当然当時の痕跡等は発見出来る訳もなく、その先も区画整理された住宅地を直線で通り抜け、鉄道の雰囲気はきれいに消えている。
14年11月
国道23号線の手前でドラッグストアの駐車場等を横切り、小さく右に曲ると国道に合流する。

当時の線路は道路脇を並走していたが、道路拡張によって現在は下り方向東側の歩道(B参照)に取込まれている。
B
14年11月
C 国道を北上すると数軒のマンションを通り過ぎ、鈴鹿警察署に到着する。専用線はここで国道から右に分離し、一旦空地や民家に変るが、その先は一車線の生活道(C参照)に転用されている。

道なりに進むとセルフスタンドの裏手を抜け、その先でパチンコ店の駐車場に突き当り、車の通り抜けは不能となる。
14年11月
さらにフジクラ鈴鹿事業所正門前の道路と交差し、ハンバーガー店の裏手に出ると、再び一車線の生活道として利用される。店への進入路となるため通行車両は異様に多い。

専用線は、ここで北の三重工場へ向う直線側の路線と、ゆるやかな左カーブで西の整備工場及び第二海軍航空廠へ向う路線が分岐(D参照)する。
D
14年11月
E 北へのルートは空地として今も路盤が残り、当時のものと思われるコンクリート橋(E参照)なども見つけることが出来る。

分岐部はきれいに整地されているものの、北に進むにつれて徐々に藪が深くなる。その先で田古知川と交差するが、既に河川改修されたようで、当時の橋梁跡を見つけることは出来ない。
14年11月
川を渡ると再び一車線の生活道に転換され、一部に自動車進入禁止の歩行者専用道路(F参照)も混在する。

沿線のお年寄に確認を取ると、昭和26年の時点で列車が運行されていたこと、旅客列車は走っていなかったこと、電化はされずディーゼル(らしき)機関車で牽引していたこと等を教えてもらった。
ただ動力に関してはバッテリーロコを使用していたとの情報もあり、正確なところは調べきれなかった。
F
14年11月
G 北東へ進んでいた路線が大きな右カーブで東に向きを変えると、左手からもう一本の生活道路が合流し、その先で鈴鹿医療科学大学(G参照)の構内に入る。

ここが当時の三菱重工三重工場跡で、西側に位置する千代崎中学校等も含めた広大な敷地を有していた。
14年11月
再び分岐部(D参照)に戻って、西ルートへ移る。

ハンバーガー店の東側から左カーブの生活道が続き、マンションの東側をかすめると国道23号線に行く手を阻まれ道路は終了する。
国道との交差後は和食レストランから住宅の中へと入り込み、西に向う跡地をトレースすることは出来ない。しばらく進むと変則交差点があり、ここから先の道路(H参照)が鉄道跡と一致する可能性があるが、現地で確認を取ることは出来なかった。
H
14年11月
I 再び左に小さく曲ると、大型シッョピングセンターの横(I参照)に出る。ここが西ルートの終点で、三菱重工整備工場はこのショッピングセンターや南側に広がる鈴鹿工業高等専門学校に変り、線路はその奥の紡績工場(既に閉鎖)となった第二海軍航空廠まで続いていた。

構内には複数の側線や分岐もあったと推測出来るが、今その痕跡を探し出すことはもはや不可能となってしまった。
14年11月

参考写真

白子構内から北側の白子第一踏切方向を望む(J参照)。右側の複線が近鉄名古屋線で、中央部から左にカーブして離れていく単線が第二海軍航空廠専用線。左下の信号に五号線出発の文字が見える。

本線上に走る列車は狭軌時代の近鉄特急。伊勢、大阪方面へは標準軌車両に乗換える必要があった。
J
撮影日不詳
K 踏切を越えたカーブ地点から、白子方向を望む(K参照)。正面には勝足日神社が写る。

ガードレールが取付けられていること、架線は張られていないこと等を確認出来る。
撮影日不詳

参考地形図

1/50000   四日市   津東部
1/25000   鈴鹿   白子

 No99に記帳いただきました。
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最終更新日2016-11/29 
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