地区:千葉県成田市 区間:不動尊門前〜宗吾/5.4km 軌間:1372mm/一部複線 動力:電気
成田といえば今はまず空港を思い浮かべるが、一昔前までは不動尊と呼ばれる成田山新勝寺が長く代表の座を占めていた。その新勝寺と成田駅、あるいは宗吾霊園とを結ぶ目的で鉄道が計画された。新勝寺門前では反対運動が続き、また経営不振で成田〜宗吾間を複線から単線に切り替えたりと紆余曲折を経て、最後は第二次世界大戦中に不要不急路線として廃止されてしまった。明治 | 43(1910) - | 12/ | 11 | 成宗電気軌道 | 開業 |
大正 | 5(1916) - | 成田電気軌道に改称 | |||
昭和 | 2(1927) - | 4/ | 1 | 千葉県営鉄道を譲受し成田鉄道に改称 | |
19(1944) - | 12/ | 11 | 成田鉄道 宗吾線 | 廃止 |
A | 成田山新勝寺の門前から程近い場所に設けられた、不動尊(A参照)。今は参拝のメインルートから外れてしまったため、人影はまばらだ。 当初、成田街道と表参道上に軌道を敷設する計画だったが、地元での反対運動を考慮したのか、市街地の東側を専用軌道で抜ける路線に変更している。 |
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17年9月 |
駅の先、複線の軌道敷は電車道と名付けられた舗装路に転換され、かなり急な上り坂で南に向かう。今はこの道路を使い、路線バスが成田駅との間を結んでいる。 幼稚園下を過ぎると複線用トンネルが二本連続し、道路脇にはその歴史を示した案内板もある。第一トンネル(B参照)は一度全部開削後に埋め戻し、第二トンネル(C参照)は坑口から掘り進む、それぞれ別の工法で建設されている。 共に切通で十分と思われる箇所だが、墓地の保護や跨線橋代わりの意味合いが強そうだ。 |
B | ||
17年9月 |
C | トンネルを抜けると今度はいきなり築堤の上に出る。かなりの高さを持ち、その落差にやや驚かされる。 そのまま京成本線の横を進み、長い上り勾配が終わると、成田駅前の信号交差点に出る。 |
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17年9月 |
交差点の東方に京成電車前、南側に本社前、JR駅前広場内に省線駅前(D参照)と、駅が三か所に分かれて設けられていた。ただ今となっては、いずれも正確な位置の把握は難しい。 ここで一番の問題は、実測平面図に描かれた駅前ループ線の存在だ。下記参考資料1には、省線駅前でスイッチバックしていたと記され、今のところその存在を肯定する情報は平面図以外にない。しかし全線を5.4kmとすればループ線を一周した値がより近く、折り返しの場合は5.1km強で距離が不足することになる。 よって現時点で結論は出せず、疑問点の解消は今後の課題とした。 |
D | ||
17年9月 |
E | 成田駅の西からは成田街道上を併用軌道で進み、論田を過ぎると専用軌道として右に分離する。 こちらも既に道路に転換され、かなり急な下り坂を経て成田線の下をくぐる(E参照)。 その後しばらくは、京成線と並行して進む。かなり幅員の狭い箇所もあり、開業時の複線用地がそのまま道路に転換されたわけではなさそうだ。 なおこの区間は、前記平面図と若干ルートが異なっている。 |
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17年9月 |
南西に向かう路線は新田(F参照)の手前で右カーブを描き、二車線の市道に合流する。駅は日赤成田病院前交差点の西側だが、ホームのない停留所のため正確な位置の特定は難しい。 ここからは道路に国道464号線の番号が付き、線路跡を拡幅転換した箇所と、当時から併走していた旧道の拡幅に利用された箇所が混在する。 |
F | ||
17年9月 |
G | 国道はやがて右カーブで西に向きを変え、同時に下り勾配が始まる。さらに一旦平坦路を挟んで上りに転ずると、道路は小さなS字カーブを描き、同所から南に分かれる未舗装路(G参照)が目に入る。これが線路跡に相当し、奥の民家に突き当たるまで続いていく。 当時はトンネルに近いような、鬱蒼とした切通の区間だったと聞いた。また分岐点の東付近には大袋が位置した。 |
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17年9月 |
民家の先は藪地に入り込み、線路跡は不明となる。藪を抜けるとルートに一致する生活道も見受けられるが、現地で線路跡である確証は得られず、途中の宗吾霊園裏も情報は集まらなかった。 終点の宗吾は宗吾霊堂の南方に設けられ、旧道沿いの民家奥に現存する古い倉庫(H参照)が、日用品を扱っていた当時の駅前商店と聞いた。 |
H | ||
17年9月 |
I | この倉庫の北側が駅構内となる。当時の写真を見ると、途中の停留所同様、乗降用ホームはなく、線路上に敷き詰めた敷石をホーム代わりに利用していたと考えられる。 その敷石は、今も数件の民家庭先(I参照)で大切に使われている。 なお地元では当路線を軌道ではなく、軽便と呼んでいたようだ。 |
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17年9月 |
1/50000 | 成田 | [大2鉄補] |
1/25000 | 成田 | [昭2鉄補] |