地区：山口県宇部市　　区間：宇部～吉部／17.7km　　軌間：762→1067mm／全線単線　　動力：蒸気・内燃

山陽道の宿場町として繁栄した船木。山陽本線が町をはずれて敷設されたため、地域開発と共に町勢の復活を目指し、地元資本で762ミリ軌間の軽便鉄道が開業した。のちに山陽本線と同じレール幅に改軌し沿線の鉱産物輸送を強化したが、昭和中期に鉱山が相次いで閉鎖されるとその使命を終えた。鉄道廃止後も社名を変更することなく、バス運行を主業務として現在に至っている。なお廃線跡は大規模私道「宇部興産専用道路」に絡んで延びる。

---

路線図		略史
	1943年 2013年	大正 5(1916) - 9/ 16 　船木軽便鉄道 　開業 7(1918) - 　船木鉄道に改称 12(1923) - 10/ 12 　　　〃 改軌 昭和 19(1944) - 3/ 1 　　　〃　　万倉～吉部間休止 36(1961) - 11/ 19 　　　〃 廃止

---

廃線跡現況

---

最新の情報

　2012年5月16日　小野田市在住の名原さんより最新の情報をメールにてお寄せ頂きましたので、許可を得て全文を掲載します。下のボタンをクリックしてご覧下さい。

「山陽小野田市民で船木鉄道跡のすぐ近くに住んでいます。昔、峠を上れずに乗客が下車して車両を押したと言われている大休のそれこそすぐ近くで、字中村駅跡からも歩いて10分程度です。
鉄道に乗っておれば満足という傾向だったのですが、貧乏極まって精々県内の鉄道歩きをしようかと考え、船鉄本社に行って線路図はないかと聞くなどいろいろ調べていると、このホームページのことを教えてくれる人がおり、参考にして結局宇部駅から吉部駅跡まで3回に分けて歩きました。いろんな情報に感謝です。
気づいた点をいくつか（素人なので間違いがあるかもしれませんが）
矢矯の表記が矢橋となっているのではないですか。「矢（やへん）」と「木（きへん）」の違いですが。
矢矯駅の跡は5月初めに歩いた時は孟宗竹や木などが伐採されており、駅跡の姿がはっきりうかがわれ、ホーム跡の大きな木に矢矯駅跡と書かれた多分紙でしょうが括りつけられていました。
その先は、少しじめじめしていて、水が流れている場所もありましたが、どうにか線路跡を歩き続けられ、途中2カ所川越え（今富川に流れ込む支流でしょう）があり、それぞれ橋台が残っています。県道バス停の上矢矯と今富の中間くらいの所になります。県道の西側に民家が一軒あり、その前後に橋台があることになります。この付近では築堤の姿がはっきり観察できます。ただし藪だらけなので歩けないでしょう。民家から少し吉部側に行った所に竹林があり、そこを透かして築堤が見え竹林が切れたあたりに橋台があります。
橋台から数十メートルくらい場所で現在の県道とぶつかります。「森の駅楠」の看板があります。1997年発行の昭文社都市シリーズ宇部によると、この小川は上矢矯バス手の少し先で県道を東からくぐっており、看板の所でもう一度くぐって東側に移動し、芦河内の手前で西に出て山中まで続いています。看板から上流側で、この小川に沿って線路があったようです。
河川改修や護岸整備の関係で跡がはっきりしない箇所もありますが、線路跡らしい場所が続いています。そして小さな橋台の壊れたものが2個所あり、芦河内の手前で県道が旧カーブしている付近で県道を横切った形だったようです。この点は吉部から歩いてくるときに田んぼで作業していた老人に聞いた話です。県道を横切って少し行くとはっきりと線路跡があり、先述の人がここが線路跡だと教えてくれました。県道から数メートル下になります。この線路跡が途切れる場所で線路跡は県道と交差し、県道の東側になり、それらしい跡があり、峠のかなり手前で西側に横切ります。
先の人が教えてくれたことには、峠のバス停の所に笛太郎に向かう道があるのですが、その下にトンネルがあったというので、後日行ってみました。県道から4、5メートルくらい下がった場所に水路があり、その水路がトンネル跡（煉瓦葺）から流れ出ており中を伺うと、トンネルは4、5メートルくらい奥でコンクリートで封鎖されており、水はパイプから出ていました。トンネル下側のかなりの部分が土で埋まっています。このトンネルがどこに抜けているのか、まったく分かりません。
万倉駅の話ですが、広くなっている箇所は滑石（蝋石かも、近くにいた人に聞いたのですが、どう言っていたのか忘れました）を積みこんだり肥料を下ろしたりする貨物用の側線だったようです。駅舎は現在民家が建っている道路東側にあったようです。この二人も、峠までは現在の県道の下を線路が走っていたと言っていました。」
「有帆駅跡は、片山から線路跡に沿って歩くと、屋根の下の壁に小野田有帆郵便局と書いた跡がかすかに分かる建物があり、その近くにブロック塀がある民家があって、ここが有帆駅の跡のようです。この場所に入る所に河口という自転車屋さんがあり、そこの主人が教えてくれました。確かにこの付近の線路跡は民家になっていますが、駅跡と言われる場所からほぼまっすぐに行った所に水路があって、その手前に「鐡道用地」と彫られた1メートル弱のコンクリート製柱があります。そこは空き地になっています。」
名原さんに感謝し、御礼申上げます。

　2012年6月2日　小野田市在住の名原さんより再び最新の情報と写真をお寄せ頂き、写真は本文内に利用させて頂きました。下のボタンをクリックしてご覧下さい。

「(一部略)ホームページに掲載されている写真Kは、間違いなく橋台です。今富川の支流と言っている川は矢矯川という名のようです。上矢矯のバス停から数十メートル吉部側に上った箇所で県道を横切っています。そこから森の駅楠の間で県道の西側を流れ、そのさらに西に幅3メートル程度の道があります。その道路からは橋台が確認できます。その道路を下るともう1つの橋台があります。4、5メートルの高さに見えます。この2つの橋台の間が築堤となっており、築堤の一部は県道からもはっきり分かります。そこから孟宗竹の林の裏側に出て、Kの写真となります。この付近では築堤の上は完全な大藪で歩けません。
線路は基本的に矢矯川に沿っているようで、県道の東側に移ってから芦河内へ至る道の数十メートル下った箇所で再度県道を横切ります。この間にも橋台の跡が2個所あり、その間で線路が川の西側（県道側）に移り、そこに今富駅があったと聞きました。バス停の今富からは少し上流側となり、護岸工事が行われた個所付近のようです。
添付した写真は、峠のバス停から笛太郎に行く道の下にあるトンネルの入口です。あまりよく撮影できていません。
下には水が流れており、高さは不明ですが、水面付近で横幅が4.5メートルとなっています。小さなトンネルを越えたらすぐが駅だったと、山中付近で作業をしていた人に聞きました。県道から相当下になります。現在の姿からは、昔の状態が想像できません。」
「写真の右側上が現在の県道です。トンネルの上端から道路まで1m、トンネルは現在は下側が埋まっていますが4mの高さがあったとすると、線路や駅は現在の県道から5mほどは下にあったことになります。そして峠の頂点付近は現在は植林した山林になっており、廃線後に相当量の埋め戻しがやられたことになります。どうにも理解しがたいところです。」
なお前回御指摘頂きました「矢橋」の件ですが、正しい表記「矢矯(やはぎ)」に訂正致しました。過去に閲覧された皆様にお詫び申上げると共に、名原さんに厚く御礼申上げます。またページの更新により写真Kは写真Nに読み替えてください。

---

参考資料

1. 　鉄道ピクトリアル通巻493号／中国地方の今はなき私鉄を偲ぶ／藤井信夫　著
2. 　厚南第6号／船木鉄道の廃軌道を尋ねて／厚南郷土史研究会

---

参考地形図

1/50000	宇部		[S24応修]	厚狭		[*S32要修]	小郡	[S15部修]
1/25000	宇部		[S34資修]	厚狭		[S11二修]	阿知須	[S2測図]	湯ノ口	[該当無]

---