地区：茨城県土浦市 区間：土浦駅前～阿見／4.6km 軌間：1067mm／単線 動力：電気
軌道としての阿見線、鉄道としての谷田部線を計画した常南電気鉄道。その計画自体にやや無理があったと考えられ、軌道線は路線を短縮して開業し、片や鉄道線は土浦口の一部が開通した後、谷田部への延伸工事を続けたものの結果的に資金が続かず、十数年の短命で終焉を迎えてしまった。
路線図
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略史
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| 大正 |
15(1926) - |
10/ |
9 |
常南電気鉄道 |
開業 |
| 昭和 |
3(1928) - |
3/ |
22 |
〃 |
全通 |
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13(1938) - |
3/ |
1 |
〃 |
廃止 |
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廃線跡現況
-谷田部線-
鉄道線の起点となったJR駅前の土浦駅前(写真A)。現在のバス乗り場付近に相当するが、駅前整備が進んだため、それらしき雰囲気すらない。起点といえども鉄道側の車両は一度も乗り入れたことがなく、軌道線の実質的な始発駅でもあった。ここから桜川に向う細い舗装路が路盤跡となり、川の手前には仮停車場から昇格した桜川(写真B)が置かれていた。ただし今は、駅に続く桜川橋梁(写真C)共々、当時の痕跡を見つけることは難しい。
路線は対岸の14階建マンションを抜けたのち、市道のT字路付近に達する。既に姿は見えないが当時はここに姥川が流れ、川をまたぐように根崎(写真D)が設けられていた。鉄道線から分岐する軌道線の起点となるが、以降の鉄道線が未成に終わったため、実質的な軌道側の中間駅に終始した。また地元での調整が難航し、予定地が二転三転した駅でもあった。
-阿見線-
区別してもあまり意味をなさないが、書類上ここからの路線は阿見線と呼ばれる軌道に分類される。
駅南方を流れる備前川に橋の痕跡はなく、そのまま富士崎町交差点北側で国道125号線(写真E)上に乗入れ、併用軌道へと変わる。
二代目小松(写真F)は製糸工場への便を図るため移設された駅で、現JRバス営業所とレンタカー駐車場が当時の工場跡に相当する。駅の先で左カーブを描き、国道と共に常磐線をアンダークロス(写真G)する。
カーブ終了地点に設けられていたのが初代小松(写真H)だが、ここも道路上の路面駅のため当然ながら何の痕跡もない。
旧版地形図はこの先、道路沿いの接骨院付近に駅(写真I)を描く。しかし駅名は付されず実測図にも載らないため、誤記あるいは不詳駅といわざるを得ない。
開業後に追加された列車対向用の小松待避線は、その後正式な駅に昇格し変電所前(写真J)と命名された。駅名の元となる変電所は道路北側に設置されていた。
また当初から列車交換設備を有していた次の大岩田(写真K)は、同名バス停が目印となる。
柿ノ木橋(写真L)は地形図にも平面図にも記載がなく、目印となるバス停もない。加えて距離呈も不明なため、前後駅の中間付近かと極めて雑な推測をするにとどまる。ちなみに精進川(花室川)に架かる旧県道の橋が同名となるが、かなり南方のため駅との関連は見えてこない。
次の青宿(写真M)で国道上から左に分れ、専用軌道に変わる。続く精進川も専用橋で渡っていたが、既に橋梁の痕跡は認められない。
川の対岸で自動車学校、さらに軌道用地(写真N)に沿ったガソリンスタンド裏を抜け、再び国道に合流する。しかしその距離は短く、すぐ東に別れ、そのまま終点阿見(写真O)へと滑り込む。昔日の面影はないが、タクシー会社から阿見坂下バス停横のアパート付近にかけてが駅跡となる。
-谷田部未成線-
工事認可を受け建設を始めたものの完成に至らなかった線区を未成線と呼び、役所用語から広まったとされる。
ここは路線を描いた地図がなく、概略図と経由地を元に昭和20年代の空中写真から経路を読み取った。東側の区間は国立環境研究所の西方から生活道(写真P)として転用されはじめ、途中一箇所の右カーブを経て変則五差路で終了する。
西側は谷田川(写真Q)を中心に歩道付二車線道路(写真R)に転換される。河川には電鉄橋と名づけられた道路橋が架けられ、欄干の飾りは車輪をイメージする。ただ今のところ前後につながる大きな道がないため、交通量は比較的少ない。
参考資料
- 鉄道ピクトリアル通巻167号／失われた鉄道・軌道を訪ねて／常南電気鉄道／白土貞夫 著
- 地方鉄道法、軌道法による許可、認可等・茨城県(常南電気鉄道2、4)・群馬県(里見軌道)・(大13.1.30～昭13.3.31) 他／国立公文書館
参考地形図
| 1/50000 |
 土浦 |
[S4修正] |
| 1/25000 |
土浦 |
[該当無] |
制作公開日2025-5/23 *路線図は国土地理院電子地図に追記して作成*
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